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2009年5月

2009年5月31日 (日)

記号の魔界 東京芝2400m馬番18は緑の魔界

Itarianry 皐月賞大敗組みのワンツー、そして皐月賞1着馬で単勝人気2.1倍の一番人気馬の大敗、今回の日本ダービー(優駿牡馬Jpn1・2009年5月31日)は予想の所作をあざ笑うような結果でした。速度理論の予想もオークス(優駿牝馬Jpn1・2009年5月24日)のようには行かず的中はしませんでしたが、殆どの予想が本命ないし対抗とした単勝1番人気のアンライバルトの予想順位を今回の結果に近い14位(確定順位12位)としました。即ち、全くの無印にしていた訳です。速度理論はアンライバルトの本当の強さを見抜いていたかもしれませんが、もう一つアンライバルトが勝てない理由も同時に示していたようです。速度理論の予想因子の中に東京の芝の2400mの馬番18の上がり速度がありますが、この予想因子の値が他のものに比べて大きなマイナスの値を持っていた訳です。これがどうのような意味を持つかと言えば、東京の芝の2400mの馬番18になった馬は、相当に傑出した能力を持たない限り、勝つ事は殆ど無いという事で、今回のダービーではその通りになったようです。

Sibaitemcategory200401n20083rd0920_ ところで問題なのは、この東京の芝2400mの馬番18の上がり速度が何故大きなマイナスになったかです。サンプルとなったのは2004年から延べ18頭いました。ダービーは2004年から算入されますので5頭です。サンプル数18と言うのは大きいか小さいかですが、どちらかと言えば非常に小さいものです。芝コース全体では約10万サンプルあります。ただ、多変量解析の手法からは18でもかなり信頼すべき値になります。東京の芝2400mの馬番1から17の上がり速度は実は余り変化がありません。馬番18だけ特異的に大きなマイナスとなっています。

緑の魔界の魔物とは芝生の事です。日本の競馬場には主に2種類の芝が使われています。主役は野芝、学名 Zoysia japonica 、日本に自生する芝から改良された品種で別の場所で育成されたものを移植(貼り付けて)して造成する。冬季は枯れる。もう一つは 洋芝・イタリアンライグラス(Italian ryegrass)、学名 Lolium multiflorum Lam. 本来は家畜の餌にされる牧草で非常に成長が早く播種(オーバーシード)によって簡単に緑化できる。冬季も緑を保つが夏の暑さには弱い。この2種類の芝により現代の競馬場は通年緑に保たれるが、実際、手で触れると、この2種類は全く別物である。野芝は私の田舎の道にも使われていましたが、根張りが良く、葉もしっかりしていて踏圧には非常に強いようです。一方、イタリアンライグラスは葉は柔らかく簡単に千切れます。実際、英国のゴルフ練習場で歩きましたが靴に纏わり付き、クラブは非常に重く感じました。特に水気が多いとどうにもならない状況でした。また、イタリアンライグラスの驚くべき点はその成長力です。今の時期ですと一日当り数cm(2~3cm)に達するようです。一方、野芝は実感として良くて数mmと言ったところです。イタリアンライグラスのボリュームはダービーの時点では考えられないほど大きさになっている筈です。

どちらの芝生が魔物かと言えば、当然イタリアンライグラスとなります。それとダービー週には仮柵移動が行われるようです。今回は一番外側になるCになり。仮柵移動によって荒れていた最内は使われなくなり、適度に踏圧された最内が現れ、今回はロジユニバースが最大限利用したようです。仮柵移動により大外18番の右側には踏み荒らされていないイタリアンライグラスの一見緑の楽園が出現し、こちらへと誘っている訳ですが、実際には緑の魔界であり、特に水分を多く含む場合、まさしく魔物です。馬番17番と18番の違いは右側に馬がいるかいないか差であり、馬番18の馬はどうも必ずイタリアンライグラスと言う魔物にスタート後暫くは足を取られスタミナを消耗して、最後の上がりで力尽きているようです。今後東京芝2400m馬番18は勝つ事は無いだろうし、馬場が悪化したら絶望的と考えられます。

よく出来た作り話か、出鱈目な作り話か、それとも真実なのか? なお、データは2004年以後の実際のレースを元にしていますので、それ以前のレースに当てはまるものではありません。

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2009年5月10日 (日)

記号の評価 人力評価関数の終焉

Sibaitemcategory200401n20083rd092_3 連休中の興味の中心は競馬ではありませんでした。早稲田大学で行われていた第19回世界コンピュータ将棋選手権(2009)のIT中継をずっと見ておりました。お陰で競馬予想はさっぱりでした。しかし、将棋ソフトの進化は凄いですね。この世界でのブレークスルーは2006年に彗星の如く現れたBonanzaが使用した機械学習という手法ですね。機械学習自身は古くからある手法らしいですが、それを実際に実感(プロと平手で対戦出来る)できるところまでプログラムとして実装できるとは思われていなかったようで、そこで、それまでの機械学習とは区別する為に現在ではBonanza Methodと呼ばれているようです。Bonanza methodで重要な点は将棋の指し手の評価関数(特徴の重み)が自動学習のみで付与されており、人間のソフト作者個人として習得した将棋力(棋力)で付与されていない事です。因みに当時のBonanzaの作者の生身の人間として棋力は殆どゼロに近かったようです。

翌年(2007)は、私としてはBonanzaが優勝すると思っていましたが、棋力の高いソフト作者のソフトに上位を独占されて、Bonanzaは4位に陥落してしまい。さらに、去年(2008)こそは優勝すると思っていましたが、またしても人力評価関数ソフトに敗れてしまいました。そして優勝と準優勝したソフトはトップアマに連勝してしまいました。ただ、この時優勝したソフトの6勝1敗の1敗はBonanzaによるものでした。Bonanzaは3位となりシード権は得ました。そして今年(2009)、当然Bonanzaが優勝となると思いきや、なんと5位に沈みシード権までも失ってしまいました。意外でした。でも、Bonanza methodとしては完全勝利でした。優勝したのは、このmethodを精緻に展開したGPS将棋であった訳です。

今回の選手権では前回優勝ソフトは2勝5敗と大幅に負け越し、過去何度も優勝した事のある人力評価関数ソフトは1勝6敗で決勝8ソフト中6位と7位であった。面白いのは前回準優勝ソフトで、このソフト作者は学習で得られた評価関数をその高い棋力で調整(ドーピングと言うらしい)したようです。今回も期待されていたようですが不参加とされたようです。GPS将棋が優勝した結果から考えると人力では無理と判断されていたようです。Bonanzaの初出場の時は1万近い特徴の重さを自動学習していたそうですが、今回優勝したGPS将棋は2万2千もの特徴の重さを計算したようです。これほどの数になれば、手動で調整する事はいくら高い棋力があっても無理な気もします。

何れにしましても、表題の人力評価関数の終焉はトッププロと対峙できるソフトとしては通過儀礼として迎えなければならないものであり、今回それが起こったようです。しかしながら、特徴の自動抽出などなど(一部には将棋のルールから学習を始めようとする意欲的な挑戦?もあったようです)というのは、まだまだ夢の彼方であり、この部分あるいは教師データの選択など限りなく人知(棋力)が必要である事も確かな事です。

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